From Engine Room

日々のあれこれ(生存報告)
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いつかパラソルの下で
いつかパラソルの下で
森 絵都
4048735896

 帰り道で8割方読めてしまったのでレポート放り出して最後まで読みました。久々に手放しで面白い本を読んだ! 森絵都さんの描くちょっと歪で不器用な人間関係と距離感が大好きです。

 必要以上に厳格な父親の元で育った柏原野々は、成人を機に家を飛び出した。友人が経営する雑貨店で働いている彼女の元に父親の死後、生前父と関係があったという女性から連絡が入る。「暗い血」という父の言葉の謎を解くために、同じく家を飛び出した兄、家に残り公務員になった妹と、三人で自分たちのルーツを探すため父親の出身地へ向かう。

 『永遠の出口』を読んだときにも思ったことですが、誰しもが持つようなちょっと屈折した気持ちを、緩やかな起伏で劇的なドラマなしに解きほぐすのが本当にすごい。他の人が同じテーマで書けばもっと生々しいどろどろした話になりそうなのに、エピソードの選択も描写も爽やかでいっそ悲しいくらい淡々としていて、でもどこか暖かい。

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闇と光の双翼
闇と光の双翼―フェンネル大陸 偽王伝
高里 椎奈
4061824554

 大国シスタス、ソルド王都を急襲。
 炎に包まれる美しき都、人質となる市民、強敵を前になすすべもなく敗走するソルド軍。衝撃的な知らせを聞いたフェンベルクは逃げ遅れた親友・ロカを救うため戦場へ。その勝ち目なき強敵シスタス軍との戦い、フェンはある意外な行動に出る!
 風雲急を告げる、王道ファンタジー第4弾!


 本当に真っ当でベタな『王道ファンタジー』ですが、このシリーズはファンタジーとしてベタなのではなく小説としてベタだと思う。ベタな展開とベタなネタが多重に絡まっているんですが、いまいち重厚感はないので逆に読みやすいのではないかと。薬屋シリーズよりは人に薦めやすい(笑)

 いつの間にロカが『親友』に、とか、意外な行動ってどれですか(割とよくある手法と戦略でした)とか特に裏表紙の作品紹介にツッコミたいところはたくさんあれど、個人的に気になるのは巻を増すごとに影が薄くなるテオと、アシュレイの今後。あとサチが何でも屋の便利キャラを確立していて、作者としては楽なんだろうけど、読む側としてはご都合主義過ぎるんじゃないかと思わないこともない。

 毎回「ありがち!」と捨てるほどつまらなくもなく、喜び勇んで買うほど面白くもなく、という印象です。文章は読みやすくて好きなんですが、主人公を始めとしてキャラクタも魅力はあると思うんですが、どうも読み返す気がしないのは、独りよがりな感じがする(元々趣味で書いたものだった)のと設定の薄さではないかと分析中。
王女グリンダ
王女グリンダ
茅田 砂胡
4125006660

 『デルフィニア戦記』の前身。『デルフィニアの姫将軍』と『グランディスの白騎士』それぞれ250ページずつあって計500ページの分厚い本です。

 かつて存在したものの、今ではなくなってしまったデルフィニアの世界であると言えば一番近いかもしれません。
 『王女グリンダ』がリィとシェラの物語なら、『デルフィニア戦記』はウォルとリィの物語です。


 ということでウォル王がちょっと影が薄かったり、リィの一人称が「ぼく」だったり、イヴンのキャラがだいぶ違ったり、バルロの言動が幼かったり、ちらほらと違うところがありつつも、基本的にはデルフィニアと同じなのでどうしてもパラレルワールド的な読み方になってしまいました。だから「こっちの続編は?」と読者が思ったんじゃないかと。

 しかしこれを読むとやっぱり『デルフィニア』は完成度高いなと思います。大陸書房の倒産から中央公論新社で書き始めるまでのブランクは2年だそうですが、構成変えるだけでこうも違うものになるというのは素直に驚く。エピソードの取捨選択も納得できるし、あとドラマ性、というか前半で綺麗に盛り上がるのは絶対本編の方かと。こっちはいまいちあっさり風味で流せてしまう。

 「面白いらしいけど18冊も読めるか!」と思っている人はとりあえずこれ読んで読めるかどうか試したらいいかも。しかし未完なのできっと先がものっそ気になる(笑) むしろちゃんと終わってる『デルフィニア戦記』の一巻読んだ方が精神的にはずっといいような気はするのでやっぱりコアなファンサービス的な位置づけしか出来ない本かな……。
月の影 影の海
月の影 影の海〈上〉 〈下〉
小野 不由美
4062647737  4062647745

 先日友人二人から揃って「読め」と強く勧められ図書館で発見したので再読。ざっと7~8年ぶりなので大まかな流れ以外覚えてませんでした。初めて読んだときは上巻がものすごく取っつきにくく感じたんですが、今回はそんなこともなく上下共にさらりと読めて驚き。地名が相変わらずちっとも覚えられないことを除いては意外と読みやすかった十二国記シリーズ第一巻です。

 小野不由美さんは一体どこからこんな話を思いつくんだ! と呻るくらい設定といい展開といい無駄のない作りに改めて脱帽。テーマ自体は主人公の成長物語で、ある意味永遠のテーマ的なものなんですが、ホワイトハート(講談社のジュニア文庫)で出たと思えないほど徹底的にシビア。

 物語は、平凡な女子高生である陽子の日常から始まる。突然、目の前に現れた見知らぬ男に連れ去られ、この世ならぬ異邦の地へとたどり着く。そこは十二人の王と十二頭の麒麟によって治められる十二の不思議な国だった。
 一見のどかで牧歌的なその世界で、陽子は次々と襲いくる異形の獣たちに追われ、そして巡りあう人々の薄情さに絶望しつつ、さすらいを始める。なぜ彼女はこの世界に呼ばれたのか。なぜ襲われなければならないのか。答えを探し求めて。(解説より)


 初めて読んだときはそれこそ陽子より年下の中学生で、何も深いことを考えずに単なるファンタジーとして読んだんですが、本当に勿体ないことをしたなと思いました。陽子が異世界での経験を通してアイデンティティを確立する、という流れは、そのまま現代人、特に私の歳くらいの『若者』には必要なものだと思うし、物語としてもものすごく秀逸でお薦めです。

 読み返したら揃えて買いたくなってきた(笑) 個人的に上下巻というのが一番のネックです。このくらいの厚さならギリギリ一冊に出来るだろうに!
死神の精度
死神の精度
伊坂 幸太郎
4163239804

 ある時は恋愛小説風に、ある時はロード・ノベル風に…様々なスタイルで語られる、死神の見た6つの人間模様。

 死神の仕事は、情報部から指示された人間の死を「可」とするか、「見送り」にするか、1週間で見極め判断すること。その過程で様々な人間と知り合い、その「死」を看取っていく。

 音楽にしか興味のない『死神』の目線で綴られる物語は、多少味気ない。話も一つ一つが短いせいか設定と人物設計がやや浅い印象。典型的な登場人物ばかりで伊坂さん独特の正義感・倫理観を持ったキャラクターがいなかったらからか、いまいち読後の印象も弱いです。残念。
チルドレン
チルドレン
伊坂 幸太郎
4062124424

 陣内、という一人の男を取り巻く連作短編集。
 独特の価値観と正義感をもって行動する家裁調査官・陣内の起こす小さな『奇跡』の物語。

 ひどくまっとうで、当たり前のことを格好つけずそのまま主張していて、嫌みがない。日常の中の非日常の中で陣内の破天荒さが浮き上がり、その奇跡がじわりじわりと沁みてきます。

 構成もうまい! 陣内の父親への反発と、その見せ方が個人的には好きでした。
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